「モンギル:STARDIVE」をはじめとする最新のゲームタイトルをPCで遊ぶ際、「スマホでも動くゲームだから、少し古いPCでも余裕だろう」と考えていないでしょうか?
確かに本作のグラフィック設定には、Unreal Engine 5(UE5)の代名詞である超重負荷機能「Lumen」や「Nanite」といった項目は見当たりません。マルチプラットフォーム展開のために、表向きは非常に軽く最適化されているように見えます。
しかし、ベースにUE5が採用されている以上、PC版では高解像度テクスチャの展開や、裏側での膨大なデータ読み込みが激しく行われています。
今回は、カタログスペックや「平均フレームレート」だけでは絶対に見抜けない、最新ゲームに潜む「スペックの盲点」を、半導体業界経験者の視点で実測・解説します。
検証環境と検証結果
当ブログの過去記事でも解説している通り、MMORPGや対人コンテンツにおいて最も実用的で勝率が高い解像度は「フルHD(1920×1080)」です。 今回はこのフルHD環境に絞り、新旧2つのデスクトップPCで、サーバーが最も混雑する負荷の高い時間帯に検証を行いました。
| 項目 | 【検証A】次世代の完全環境 | 【検証B】普及帯の基準環境 |
| 役割 | UE5のポテンシャルを解き放つ理想形 | 現実的な妥協ラインを探る普及帯モデル |
| CPU | Ryzen 7 9800X3D | Core i5-13500 |
| GPU | RTX 5070 | RTX 3060 (12GB) |
| メモリ | DDR5 32GB | DDR4 32GB |
※UMPC等のモバイル環境でも検証を行いましたが、今回は「デスクトップでの快適なプレイ」に焦点を当てるため割愛します。
実測データ①:平均100fpsの裏に潜む「1% Low」の低下
まずは、フレームレート(快適さ)の実測データです。ゲーム内設定は「最高画質」、フレームレート制限は「無制限」で計測しました。

- RTX 3060 (12GB) 環境: 平均FPSは「100fps前後」を記録し、一見すると非常に優秀です。
- RTX 5070 環境: 平均・1% Lowともに144fpsに完全に張り付き、制限を解除すれば200fpsを超える圧倒的なポテンシャルを見せつけました。(※WQHD解像度に上げても144fpsを維持するオーバースペックぶりです)。
RTX 3060は平均約100fps、1% Lowでも68fpsと大健闘しています。UE5タイトルながら60fpsを1%Lowで割らなかった点は、3060というグラボの底力と、本作の最適化の良さを証明しています。
しかし、RTX 5070に目を向けると、1% Lowですら164fpsを超えており、次元が違います。 本作の設定では固定フレームレートは144fpsまで存在するので、公式的にも144fpsまでは想定していることを意味します。もし、144Hzモニターを持っているorこれから購入を考えているのであれば、性能を余すことなく使い切れるのは、明らかに後者です。
実測データ②: GPUは高熱状態が続いている
RTX3060で60fpsを超えるので、問題ないと思っている方はGPUの温度についても注意が必要です。
RTX 3060とRTX 5070での温度の実測結果は以下のとおりです。

RTX3060は最大で83℃、平均でも80.1℃、図には表していませんが、中央値でも81℃となっており、高温状態が続いていました。この状態が続くとGPUの故障につながるケースがあるので、まずはパソコンの清掃をして改善するかを確認し、それでも難しい場合は60fpsや30fpsで固定することも視野にいれてプレイするとよいでしょう。
一方で、RTX5070は最大でも68℃、平均は64.7℃、中央値が65℃となっており、GPUに負荷を掛けている状態としては非常に低い温度を推移してました。
※環境(室温、PCのエアフロー、ファン制御、メーカーなど)により温度は異なります
GPUの温度が高い状態が続くと寿命を縮めるだけでなく、故障につながる場合があります。高温によるリスクは以下のとおりです。
- 1.高温による処理の抑制(サーマルスロットリング)
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ゲーム中に突然フレームレートが落ちてカクつく場合、この機能が作動している可能性があります。
GPUは一般的に、温度が限界値(約85℃〜90℃以上)に達すると、「サーマルスロットリング」という自己防衛機能が強制的に働きます。
これは、チップが熱で焼き切れるのを防ぐために、意図的に処理速度(クロック周波数)を落として発熱を抑える仕組みです。
つまり、いくら高いお金を出して高性能なGPUを買っても、熱を逃がせなければ「本来の性能の半分」も引き出せない状態に陥ってしまいます。 - 2.部品の劣化
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半導体や基板上の電子部品は、すべて熱に弱いという宿命を持っています。
高温状態が続くと、チップ内部の微細な金属配線が変形・断線してしまう「エレクトロマイグレーション」という現象が加速します。
また、電力を安定させるためのコンデンサ類も、熱によって急速に寿命を縮めます。
「最近ゲームがよくクラッシュするようになった」という場合、この熱劣化がジワジワと進行し、目に見えない故障が始まっているサインかもしれません。 - 3.ゆがみによるハンダクラック
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最近の高性能GPUは非常に重く、マザーボードに挿しただけでは自重で垂れ下がってしまいます。(いわゆる「GPUの重量負け」です)。
GPUサポーター(支え棒)を使わずに歪んだ状態で使い続けると、非常に危険です。
ゲームの起動と終了によって「超高温(膨張)」と「冷却(収縮)」が繰り返されることで、歪んだ基板とチップを繋ぐ無数の小さなハンダ(BGA)に金属疲労が蓄積し、ヒビ(クラック)が入ります。
最悪の場合、信号の伝達が途絶え、「画面の一部にノイズが走る」「ゲーム画面だけが真っ暗になる」といった致命的な故障に直結します。
実測データ③:「メモリ16GB」はすでに限界を超えている
「ゲーム単体の消費メモリが少ないなら、標準的な16GBモデルで十分だろう」 ——公式サイトの推奨スペックだけを見て、多くの方がそう判断してしまいがちです。
実際、今回『モンギル』単体のメモリ(RAM)消費量を計測したところ、わずか2〜3GBと非常に優秀でした。
しかし、ここに現代のPCゲーマーが見落としがちな「盲点」が存在します。
それは、私たちがPCを「ゲーム単体の起動」だけには使っていないという事実です。
Nintendo SwitchやPS5などの家庭用機であれば、基本的にゲームしか起動しません。
しかしPCの場合、裏でブラウザを開いて攻略Wikiをチェックし、Discordでボイスチャットを繋ぎ、さらにはマウスやPC本体のライティング制御ソフトまで常駐させています。
つまり、現代のPCゲーミングは常に「マルチタスク」なのです。
では、これらを同時に行った場合、実際にどれほどのメモリが食いつぶされているのか。リアルな使用量を実測したグラフが以下になります。

検証中、バックグラウンドで動いている全プロセスを解析したところ、以下の事実が浮かび上がりました。
- ゲーム本体(モンギル):約2.6GB
- ブラウザ(Chrome等):約1GB以上
- 通話ツール(Discord):約1.8GB
- システム・常駐ソフト(Windows / 各種ランチャー):約10.0GB以上
ゲームを起動したまま、裏でChromeのタブを複数開いて攻略WikiやYouTubeを見ながら、Discordでフレンドとボイスチャットを繋ぐ。この「当たり前」のマルチタスクを行うだけで、システム全体では15GB以上のメモリを一気に消費しています。
この結果を見て、「いくらなんでもシステムや裏のソフトだけで8〜10GBもメモリを取るのはおかしいのでは?」と疑問に思う方も多いでしょう。 筆者自身も、最初は「何かのエラーでメモリ漏れ(リーク)を起こしているのではないか?」と疑いました。しかし、詳細なプロセスログを解析すると、非常に納得のいく残酷な事実が見えてきました。
タスクマネージャーの裏側には、10MB〜100MB程度の小さなプロセスが、なんと100〜200個近くも動いていたのです。 仮に1つのプロセスが50MBだとしても、それが200個集まれば「10GB」という巨大な容量に達します。
しかも、これらの大半は無駄なソフトではありません。 約半分はWindows OSを動かすための必須プログラムであり、残りは「ゲーミングマウスの制御ソフト」「プリンターのドライバ」「OneDrive」「NVIDIAのシステム」、そして「ゲーミングPCのライティング(LED)制御ソフト」などでした。 つまり、私たちがPCを「何もせずにただ起動しているだけ」でも、これだけのメモリが“必要経費”として天引きされているのです。
さらに恐ろしい事実をお伝えします。 今回の検証に使用したPCは、OSをクリーンインストールしてからまだ日が浅い、非常に綺麗な状態です。それにも関わらず、システム全体で15GB以上を消費しています。
もしこれが、購入から数年が経過し、様々なソフトウェアや便利ツールが蓄積されたPCであればどうなるでしょうか? 裏で動く常駐ソフトはさらに増殖し、メモリ消費量は右肩上がりに増えていきます。16GBメモリでは、あっという間に限界を突破し、画面のカクつきやフリーズといった「スワップ(メモリ不足)」の症状に悩まされることになります。
「遊ぶゲームが軽いから、メモリは16GBで十分だろう」という油断は禁物です。PCを数年先までストレスなく使い倒すためには、購入時の「メモリ32GB」への投資が、絶対に削ってはいけない最強の防衛策となります。
結論:あなたが選ぶべき、後悔しないPC構成
フレームレート、GPU温度、メモリを見てきましたが、前回のUE5を用いたLegend of Ymirの記事に比べ、アニメ調ということもあり、メモリ消費は抑えられているし、必要なGPUの性能もUE5のわりには高くありませんでした。
一概には言えませんが、アニメ調であれば、UE5の特徴をゴリゴリに使用することは少なく、特にモバイルでも動作するようなゲームはそこまで高スペックを要求されることは少ないでしょう。
これらの実測データから導き出される、プレイスタイル別の「最適なBTOパソコン」の選び方は以下の通りです。
① 【コスパ・標準プレイ重視】フルHD 60Hzモニター環境
今回の実測データから、UE5タイトルをフルHDで遊ぶための実質的な「最低ライン」はRTX 3060であることが判明しました。しかし、最低ラインのスペックで妥協するということは、「常にGPU使用率が100%に張り付き、80℃を超える過酷な発熱に晒され続ける」ことを意味し、PC自体の寿命を著しく削ってしまいます。
そこで、コストを抑えつつ長期間の安定稼働を狙うのであれば、最新世代の「RTX 5060」搭載モデルが最適解となります。新世代のアーキテクチャによる処理能力の「余裕」が発熱を抑え、結果的にPC本体を長持ちさせる賢明な投資となります。
また、メモリ容量についても妥協は禁物です。先述のプロセス検証で明らかになった通り、システムと裏で動くツールだけで10GB以上を消費する現代の環境において、標準の16GBでは常にスワップ(処理落ち)の危険と隣り合わせです。購入時には必ず「32GBへ変更(カスタマイズ)」することを強く推奨します。
- CPU: Ryzen™ 7 7700
- グラボ: GeForce RTX™ 5060
- メモリ: 16GB(DDR5-5200)
(※注文時に32GBへ変更推奨!) - ストレージ: 1TB NVMe SSD
- 電源:750W (BRONZE)
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② 【対人戦・最高環境重視】フルHD 144Hzモニター環境
本機は『モンギル:STARDIVE』はもちろん、今後リリースされる重量級のUE5タイトルや多人数MMORPGにも完全対応する、死角のないハイエンドモデルです。
最大の特徴は、最新CPUの「大容量L3キャッシュ」によるフレームレート(1% Low)の圧倒的な安定化です。さらに、フルHD環境においては「オーバースペック」とも言えるRTX 5070を搭載していますが、これは「GPUの稼働率に余裕を持たせ、常に低温で動作させることでPC全体の寿命を最大化する」という戦略的な優位性を生み出します。将来的にWQHDや4Kモニターへ移行した際にも、そのまま第一線で活躍できるポテンシャルを秘めています。
また、購入時のカスタマイズとして、メモリは次世代の新基準である「32GB」への変更を強く推奨します。先述の実測データが示す通り、MMORPGをプレイしながらブラウザやDiscordを開く現代のスタイルでは、システム全体で13〜15GBを消費するため、標準の16GBではパフォーマンスの限界に直面します。
総じて、本モデルは「これから数年間、フルHD環境において一切の妥協なく最高のゲーム体験を約束する」1台です。
一瞬の処理落ちによる敗北や、熱によるパーツ劣化のリスクを完全に排除したい熟練ゲーマーに、自信を持って推奨します。
- CPU: Ryzen™ 7 9800X3D
- グラボ: GeForce RTX™ 5070 (12GB)
- メモリ: 16GB(DDR5-5600)
(※注文時に32GBへ変更推奨!) - ストレージ: 1TB NVMe SSD
- 電源:750W (BRONZE)
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以下の記事でもMMORPGに特化したパソコンについて解説していますので、気になる方はこちらもご参照ください。



